なくした詩
なくした詩が心にあった。
心の声を常に聞き続けていた。
常に鳴り続ける心の声は、
声から生活の音の一部となり、
僕の呼吸や、歩く音、
外から聴こえる町の音に紛れていった。
それが普通になった時、
僕らはその前を忘れる。
忘れてしまったことを忘れてしまえば、
その声の記憶は永遠に失われる。
あの時の気持ち、
喜びや悲しみ。
常に隣に居続ける孤独や虚しさは、
いずれ僕が見ている景色の一部になる。
コーヒーを飲みながら、
ふと見上げた天井にあの頃が映る。