盗み聞き常習犯

 

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うぃ〜す、水曜日。

略してうぃ〜水。

 

 

つっついに、

彼女が…

 

俺の、

俺のつるんでた飲み仲間に彼女ができてしまった…泣

 

嬉しいような悲しいような、

悲しいような悲しいような…

 

俺はこれから誰と飲めばいいんだ〜!!

 

 

 

あ〜、俺も彼女欲しいな〜

最近、地元の同級生が次々と結婚していってびびってますわ〜

 

学生の頃、

定期的に訪れる

カップルブーム」

俺はそんなブームに乗れるはずもなく、

陰でリア充達に中指を立ててるような奴だったから、

そんなノリでこの歳にまでなってしまった笑

 

周りで恋空が流行ってた時は、

稲中読んでゲラゲラ笑ってるような奴だったからね笑

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そんな過去を少し後悔しつつ、

今日も夜の町を走った。

 

 

走ることは、

もはや習慣みたいなものだ。

 

町には色んな人がいて、色んな景色がある。

そんな景色を見ながら町を走り抜けるのはなかなか爽快だ。

 

 

景色以外にも楽しみはある。

人の横を通り過ぎると人々の会話の断片が聴こえる時がある。

 

走ってる時意外にも、

僕はよく聞き耳を立てて盗み聞きをする。

 

この間ファミレスに入った時は、

若いカップルがマルチ商法の勧誘をされていた。

 

東京で入った喫茶店では、

女子大生がチャラい風貌のスカウトに言葉巧みに口説かれてエッチな店に入らされそうになっていた。

 

そういった興味深い会話が聞こえたら、

僕はそっと聞き耳を立てて密かに楽しんでいる。

 

 

走ってる時に聴こえてくる、

断片的な会話やフレーズはそれとは少し違った楽しみがある。

僕は会話の断片だけを聴いてすぐにその場を走り去るので、

どのような会話の文脈でその発言をしたのかというのを想像してしまう。

 

 

例えば、

今日走ってる時、

2人組みの男性の横を通り過ぎる時、

「昔はかき氷が好きだったけど、今はぜんざいが好き」

という会話が聞こえた。

目の前を見ると食堂があって、

「ぜんざい」と書かれた張り紙があった。

彼らの発言はこの張り紙を見てのことなのだなあ、

確かに僕も今はぜんざいが好きだなあ。

と勝手に思いながら走り抜けた。

 

 

そこを走り抜けた後、

僕はステキな会話の断片に出会うことができた。

 

 

緩やかな上り坂を一気に駆け抜けている時、

目の前にあるカップルの後ろ姿が見えてきた。

彼氏は両手にスーパーの買い物袋をぶら下げていた。

彼女の方は空の方に、スマホのカメラを向けて何かを撮ろうとしている。

しかし、上手く撮れなかったらしい。

僕が彼らの横に並んで通り過ぎようとする時、

 

「いいじゃんね、

一緒にいれさえすれば十分だよね」

 

という彼女の会話が聞こえた。

確かに。

 

好きな人と一緒にいれる。

なんと羨ましいことか。

 

好きな人がいても、

一緒にいれない人もいるというのに。(俺)

 

 

このご時世、

失ったものを数えるよりも、

今現在ある幸せを大事にするべきなのかなあ〜と思ったり。

 

 

あの彼女さんが到達した真理は、

これまでの人生で僕が到達できなかった場所だ。

 

 

しかし、

すれ違っただけの彼女の一言に僕は明日が見えた。

彼女は僕の心の師匠だ。

 

 

ありがと、師匠。

 

じゃ、おやすみ。

 

 

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