マスクの抜け殻

最近道端にマスクが落ちているのをよく見かける。

このご時世の影響でマスクの需要と供給が高まった影響なのかな。

道端のマスク達はどのような経歴を持っているのだろう。

仕事帰りのサラリーマンが1日の束縛の解放に気分が高まって脱ぎ捨てたのか、

自粛に疲れた恋人達がどうにでもなれとキスをする為に捨てたのか、

もしくは同じものを使い古しすぎてゴムが切れたのか。

ずっと家にいては身体がなまるので、

たまには走るようにしている。

本来なら金曜日は人で賑わっている繁華街も閑散としている。

息が上がるにつれて吸い込む空気の量も多くなる。

本来ならハアハアと息を吸うが、

できるだけ息を止めるように走る。

不謹慎ながら、

この世界は面白いなと走りながら思った。

何が起こるかわからない。

今まで安定していたものが根っこからひっくり返る。

大富豪でいう革命。

今までの常識が常識でなくなり、

新しい常識が生まれる。

何も見えない真っ暗な闇の時代がやってくる。

その闇に乗じて悪い奴は暗躍する。

どうせなら俺もこの闇に乗じて…

なんて良からぬことを考えていると、

頭から盛大にぶっこけてしまった。

手の平に痛みを抱えながら、

前に落ちた眼鏡を拾った。

ああ、

良からぬ事は考えるものじゃないなと思った。

あの時転んでいなかったら、

俺は悪事に手を染めていたかもしれない。笑

今まで通り真っ当に生きようと思いました。