どこかで草刈りの音が響く。
草刈り機のエンジン音と、回転する刃と石が衝突するキンキンという音が混じる。
少し遠くから聴こえてくるこの音は、
僕の部屋の窓から入ってくる。
草刈り機で草を狩る男の姿を想像すると、
刈られた草から漏れてくる匂いまで自然と思い出される。
これは、秋の景色だろう。
そろそろ、近所の小学校から運動会の準備の音も聞こえてきそうだ。
ゴミ収集車の音は年中無休。
そういえば、今日は扇風機の風がいつもより冷たい気がする。そろそろ彼の今年の仕事も終わる。また、来年もよろしく。
季節の中で秋が1番好きという人は多い。
夏と冬という対立する強大な季節。
夏は暑すぎるし、冬は寒すぎる。
春は終わりと始まりの季節で、春特有の落ち着かなさというか憂鬱みたいなのがある。
秋にはそういうのが無い気がする。
僕らを苦しめた夏の暑さから解放されて、
すぐに訪れる楽しい年末を期待している。
動物は冬、冬眠する。
人間も大昔は冬眠していたらしいけど、
現代では一つの季節丸々睡眠にあてるなんて贅沢な事はできない。
秋は眠りにつく前の夜の時間みたいなものかな。
眠りにつく前にこの一年を振り返る。
これから来る冬の寒さを想像したら自然と毛穴が締まっていく。